闇喰いに魔法のキス《番外編》

別れの日の会話は、今でも鮮明に覚えている。



“…俺がすべてを終わらせて、ミラが俺を捕まえて…もし、お前の気持ちがまだ変わってなかったその時は…

また…俺のところに戻って来てくれないか”



二年前のあの時の言葉を…

目の前のロディは覚えているのだろうか。


敵対していた二年間が終わり、ガロア警部の判断により、まさかの“闇ヘッドハンティング”で“同僚”となった私たちは

今、どんな関係なんだろう。



…ただの“同僚”?“元恋人”?



私は、資料に目を通すロディをちらり、と見上げながら心の中で呟く。



いちお、あなたは目的と役目を果たして、私はあなたを捕まえたんだけど…

私の気持ちは、まだ変わってないんだけど…



するとその時

すべての資料を束ね、机に置いたロディが
私を見た。



…っ。



そして、目が合って動揺してしまった私に向かって彼は声をかける。



「資料は俺が後でパソコンで作っておくから

隠れて寝てたことは秘密にしといてやるよ」







目を見開く私に、ロディは低く艶のあるいつもの声で誘うように言葉を続けた。



「…その代わり、久しぶりに飲みに行こうぜ

今日は金曜日だしな。」



「!」



…変わってないんだな。



私は、小さく笑って頷いた。



…まぁ、“飲み仲間”も悪くない。


“今のところは”。



短編*完

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