闇喰いに魔法のキス《番外編》


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……ラ…

…ミラ……



誰かが…私の名前を呼んでいる。


その声は、どこか懐かしく、心地いい。


誰の声…………?



「おい、ミラ。」


「………っ……!」



はっ!と目を覚ますと

そこはタリズマンの本部だった。


知らぬ間に机に突っ伏していたと思われる顔を上げると

目の前には先ほどまで深く甘いキスを交わしていたはずの彼がいた。



「書類の整理中に寝るなんて、珍しいな。

“同僚”の俺が手伝ってやろうか?」



私は、彼の言葉で、はっ!とする。



そうだ。


今、私は上司のガロア警部に頼まれて

闇についての資料をまとめていたんだった。



…ということは、さっきまでのは夢…?



かぁ…!と顔が赤くなる。



わ、私ってば、なんて夢を……



「ミラ?どうした?」



ふいに近づいた整ったロディの顔に、私はさっきまでの夢を思い出し

ばっ!と顔を逸らした。



…付き合い始めた頃の夢を見るなんて、どうかしてる。



私たちは二年前、別れたはずなのに。


別れの記憶が蘇る。



“ミラ、聞いてくれ。これから、俺の雇い主が変わるんだ。

そいつは手のかかる“ガキ”で、俺は今までよりも危険な橋を渡らなければいけなくなるし、場合によっては手を汚すことになる。”



ロディの声が、頭にこだまする。



“俺はこれから、惚れた女を一番に優先することが出来なくなる。

もし、ミラと俺の主人が対立した時、俺は迷わずお前に刃を向けなくてはならない。”



“私が、ロディを捕まえたら…

主人との契約はなくなるのよね…?”



“…まぁ、そうなるが…。”



“なら、私が捕まえるわ。

証拠を見つけて、あなたを情報屋から解放する。”



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