ライ【完】
「よぼよぼのおばあちゃんなんか何処にもいないよ。」

そう言って微笑む雷太。

私は嬉しさのあまり抱きついた。

「雷太――――会いたかった…」

泣きながら喜ぶ私の背中を

雷太はあのときと同じように優しく

叩いてくれて。

「俺も。ずっと会いたかったよ。」

と私をきつく抱き締めて

そう言ってくれた。

やっと会えたね。雷太。

ずっとずっと会いたかったよ―――

「…そろそろ行こうか。」

気がついたら私は数十年前、

雷太を送り出した駅のプラットホームにいて。

電車は既に到着していた。

「うん。」

私が笑顔で頷くと雷太は笑った。

そして続ける。

「お前の旦那の許可も取ったし、今から連れ回すからな。海だろ?スタジオだろ?それからショッピングだろ―――」

自己中心的な雷太、久しぶりに見た。

やっと雷太らしい言葉が聞けた。

ああ、これが森本雷太だって。

――なんて、愛しいのだろう。

そう思うと何だか幸福な気分になった。

―――電車に乗り込む前、

私は愛しい貴方の名前を呼んだ。

「雷太。」

「ん?」

私の目を見てちゃんと微笑んでくれる

貴方が本当に本当に愛しい。

旦那に悪いけど

きっと、来世も好きになるのは

貴方だけだから――――

「ネックレスありがとね。」

「おう。」

こうして私たちは

数十年ぶりに手を繋いだ。
< 101 / 101 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
「―――もう、終わりにしよう。」 君が発したその言葉と同時に 私の額を伝ったのは涙だった。 声がでない。 「無理…だよ。」 やっと出た声は情けない程、震えていた。 溢れる涙が止まらない。 こんな顔、君には見せたくなかったのに。 「…無理とか言うなよ。」 困った表情を浮かべた君に 私は嗚咽を漏らすことしかできなくて。 そんな私に君は、もう一度言ったんだ。 「――――これで終わりにしよう。ミサ。」

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop