イケメン小説家は世を忍ぶ
「その言い方……語弊があるんで止めてください」

恥ずかしくて頬を両手で押さえながらケントを注意する。

そうだった。

毛布が一枚しかなくて……結局……ケントと一緒に使うことになって……。

眠れないって思ったのに、どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。

確かにケントの腕の中は温かくて、気持ちよかったんだよね。

安眠効果があるのかな……って、何考えてるのよ!

あ~、私のバカ!

相手は王子様なのに……何で寝ちゃうのよ!

「足の具合はどうだ?」

私がひとり頭を抱えている間に横で毛布を慣れた手つきで丸めたケントが、屈んで私の足の状態をみる。

「だ、大丈夫ですよ。まめがつぶれたくらい」

素足を見られるのが嫌で私は咄嗟に足を手で隠した。

今は明るいから夜中とは違いはっきり見える。

こんな見苦しい絆創膏だらけの足を王子様に見せるのは失礼だし……恥ずかしい。
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