イケメン小説家は世を忍ぶ
「怪我も治りましたし、私……日本に帰ります。いろいろと……お世話になりました」

涙がこみ上げてきて必死で堪える。

ここで泣いちゃダメだ。

どこに行っていいかわからないが、今はケントから離れることしか頭になかった。

最後に頭を下げてシートから立ち上がろうとすると、ケントに止められた。

「悪いが、お前を日本に返せなくなった」

思わぬケントのセリフにキョトンとする私。

「……でも、私はセピオンの人間じゃないし、日本に帰らないと……。それに、肩の怪我は治りましたし……。あっ、ひょっとしてこの指輪ですね?今すぐ外しますから」

自分が日本に帰れない理由はケントの指輪かと思って、慌てて指から抜こうとした。

これは、きっとケントにとっては大事な指輪。

お願い、今度こそ外れて。
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