イケメン小説家は世を忍ぶ
「この指輪は、この国の皇太子からその妃へ、その妃からその息子へと引き継がれる指輪だ。指輪は妃を選ぶことで次の王を選ぶ。お前がこの指輪をしているということは、俺の妃となったことを意味する。だから、もうお前は日本人じゃない」

ケントの話についていけなかった。

『俺の妃』って?

頭がますます混乱する。

「……ケントにはセシリアさんっていう婚約者が」

胸がズキンと痛むのを感じながら、ケントの婚約者の名前を口にした。

「セシリアが婚約者?」

ケントは驚いた顔で、私に聞き返す。

「セシリアさんが……ケントは自分の婚約者だって言って……」

戸惑いながらケントに説明した。

「それで、俺に何も言わずに帰ろうとしたのか?」

「……だって……私がいたら」

ケントに迷惑をかけると思った。

「セシリアはただの従妹だ。それに、あいつはまだ十七だぞ。ガキを嫁にする気はない」
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