イケメン小説家は世を忍ぶ
「聞いて怒りません?」

「質問の内容によるな」

桜井先生は、いつものように意地悪く返す。

……だったら聞かないに限る。

「……じゃあ、止めておきます」

聞いて機嫌を損ねたくはない。

「冗談だ。怒らないから言ってみろ」

フッと微笑しながら桜井先生はじっと私を見る。

……怒らないで下さいよ。

「桜井先生は……ずっと東京に住んでいるんですか?」

先生の反応を伺いながら恐る恐る聞くと、彼は平然とした様子で答えた。

「いや」

あまりにもあっさりした返答が帰ってきて拍子抜けしてしまう。
「そうなんですね」
軽く相槌を打つが、もっと突っ込んだ質問をしても……なんて考えが頭を過る。
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