イケメン小説家は世を忍ぶ
そんな私の思考を読んだかのように、桜井先生が口を開いた。

「まだ何か聞きたそうだな?」

その声にはどこか面白がっているような響きがあった。

……聞きたいことはたくさんある。

先生はハーフ?とか、本名は?とか、何で素顔を公にしないの?とか……。

それに、あの写真の男性のことを知っているのか?……とか。

でも……聞きたくても写真は手元にないし、子供みたいに何でも聞くのは失礼だよね。

それが桜井先生ならなおさらだ。

私のただの好奇心のせいで彼との契約を解除されるわけにはいかない。

私がここにいるのは、桜井先生に質問をするためじゃない。

伯父さんの代わりに彼をお手伝いするためだ。

鯖の塩焼きを箸でつつきながら「いいえ」と小さく呟く。

「何の意地を張ってんだか。それにしても、その鯖の食べ方はないな。お前、箸の持ち方も違う」

クスッと笑うと、桜井先生は面白そうに指摘する。
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