俺に彼女ができないのはお前のせいだ!



「じゃー柳井くん上がっていいよ」


「はい。お疲れさまでした」



あー疲れた! 客多すぎ! 足痛すぎ! 顔けいれんしすぎ!


お客さんにありがとうと言われても全然嬉しくない!


こちとら仕事でやっとんじゃ! 時給のために笑顔作ってやってんだよ!



と、俺は接客業にあるまじき暴言を脳内で吐いていた。



でも。よく考えたら今日だけで3000円以上も稼いだのか。すげーな。



ほんの少し、俺も大人になれた気がした。



「入りまーす」



コンコン、ガチャ。


ノックしてからロッカールームのドアを開ける。



するとそこには……。



「キャッ!」



胸元のボタンがはだけたままの、めちゃくちゃ美人な女性が!!


ちょうど着替え中だったらしい。やべっ!



「す、すんません!」


「閉めて! 早く閉めて!」


「うわっ」



慌てた声が聞こえたかと思いきや、急に腕を引っ張られた。


体のバランスを崩し、俺はそのお姉さんに向かって倒れ込みそうになる。



自然にドアがギ~バタン! と閉まる。



「……ぶっ!」



気がつくと……。



狭いロッカールームにて、


俺はお姉さんの胸元に顔をうずめている状態に!



――うほっ。やわらかい。あったかい。布を隔ててはいるものの、なんだこれマジやべぇ!



ってオイ! これじゃガチの変態じゃねーか俺!



「すみません! わざとじゃないです! 本当すみません!」


「ごめん、私こそテンパって引っ張っちゃった!」



急いでお姉さんから離れたが、俺の全身の細胞はいよっしゃぁぁ! と全力でガッツポーズをかましていた。



出た、出たぞ! 念願のラッキースケべ!


おいしすぎる! まさに大人への一歩!



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