俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
落ち着け、落ち着け、と脳内で復唱している間に、
お姉さんは胸元のボタンを急いで閉めた。
「ごめんね。突然びっくりしちゃったよね。新人くんでしょ?」
「はい……柳井と申します」
「柳井くんね。私は佐々野エナって言います。よろしくー!」
――『何カップなんすか? かなりでっかいんじゃないんすか?』
こら! 出てくんな欲望俺!
雑念にまみれたままの俺に対して。
さっきの出来事など無かったかのように、エナさんはニッコリと俺に笑顔を向けてくれた。
ウェーブがかかった茶髪、厚く囲まれた目のまわり、真っ赤な唇。
派手なんだけど、元の顔が整っているおかげか嫌味がない。
ちょっと遊んでそうな感じ。アリサとは別種類の美人。
「はい。よろしくお願いします」
「仕事のことで分からないことあったら何でも聞いて。あ、ライン交換しない?」
エナさんはフレンドリーかつ、サバサバ系のようだ。
着替えのぞき&ダイブ事件のことは気にしていないらしい。
ちゃんみゆはハズレだったけど、こっちは超当たりじゃないっすか?
俺、色々教えてもらいたいっす!