俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「…………」
「裕子さんとおばあさん、旅行なんでしょ?」
暗めに戻した長い髪。どこかぎこちない笑顔。
「今日あたしも夜、1人だし、ご飯作りにいこっか?」
上目遣いの可愛い顔面と、甘い声が俺を攻めてきた。
――ぐっ……!
欲望俺が、エナさんルートからなぜかアリサルートへ思いっきり舵を切ろうとしていたが。
ここは冷静俺がしっかりと制してくれた。
女なら誰でもいい的なゲスな考え方はするなっ! と。
結局、脳内でいろんな感情がバトルをしているせいか、
「あー。まぁー、うん」
と、無意識のうちに俺は口にしていた。
「分かった。じゃあまた連絡するねー!」
嬉しそうに手を振りながら、アリサはどこかへ出かけて行った。
きっと、彼氏とのデートだろう。
「ちっ……」
昼は彼氏と遊んで、夜は俺の家にご飯を作りに来る。
自分のやってることの意味不明さ、分かってんのお前。