俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
いつの間にか、あたしの視線は鋭くなっていたらしい。
「こわっ。何で俺、にらまれてんの?」
「にらんでないよ。普通だよ。ひっど。良ちゃんの方が目つき悪いくせに」
悔しさのあまり、憎まれ口をたたくことしかできない。
怒らせちゃったかな、と思いきや。
ぎゅっと椅子の音を鳴らし、良ちゃんは立ち上がった。
なぜか笑いをこらえているような顔で。
「お前、わけわかんねー。さっきの男といた時と全然態度違うじゃん」
良ちゃんは嫌味っぽくそう言いながら、あたしの隣に座ってきた。
ベッドがきしむ音とともに、体が揺れる。
近づいてきてくれる度、心も揺さぶられる。
数年前、泣きながらこの家を出ていった女子や、
バイト先のせくしーなお姉さん。
他にも、良ちゃんに近づく女の子はいたのだと思う。
なのに結局彼女はいない。
何度か聞いてみたこの言葉を、あえて今、口にしてみた。
「ねぇ、良ちゃんは、彼女ほしくないの?」って。