俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
☆
3年の、のぞむというチャラ男とアリサが付き合い始めたという噂は、あっという間に学校中に広まった。
「いってきます」
あくびをしながらヘルメットをかぶり、自転車にまたがった。
流行りの歌を口ずさみながらチャリをこぎ、向かってくる風を浴びていると、
かつて集団登校の集合場所だった公園が見えてくる。
現役の小学生たちはちょうど学校に向けて出発したようだ。
アリサに彼氏ができたら、俺はいつもより5分早めに家を出るようにしていた。
だいたい、アリサの彼氏になった男子は、この公園で彼女が朝来るのを待っているから。
のぞむという男も、もちろんいた。
自転車にまたがったまま片足を地面につけて、スマホをいじっていた。
かと、思いきや。
「……ちっ」
うーわ。にらまれた。舌打ちされた。
しかもコイツ、チャリのくせにヘルメット持ってないじゃん。校則破るなよこの不良が。
俺は軽く会釈をしてから、ペダルを踏み込んだ。
俺とアリサが幼なじみで家が向かい合わせであることは、たいがいの人に知られている。
そして、毎回、アリサに彼氏ができるたびに、
俺は敵対視される存在になる。
まあ、俺、アリサと一緒に寝たことあるし、お風呂に入ったこともありますが、何か?(←どっちも10年以上前)
てか、やっぱりまた目つけられた? マジめんどくせー。