俺に彼女ができないのはお前のせいだ!


軽くかがんで、そっと手を伸ばした。


しかし、手は空を切るだけ。あれ、意外とまだ先か?



いいや、やっぱりここだ!


ユージでさえできたんだから俺もいけるはず!



そう思い、俺は姿勢を低くしたまま右手を思いっきり伸ばした。



しかーし!



「うわっ!」



――ばたーん!!



体のバランスを崩してしまい、勢いよくその場に倒れてしまった。痛ぇ……。



「あ……!」



かすかに指先に何かがあたる感触がした。



恐る恐る目を開ける。


伸ばした右手の中指の先が、ギリギリで石に触れてる! 一応、成功したってことじゃね?



「やべぇ、良一超ウケる!」「でも石に触れてるし。すげー執念!」



まわりの男子たちからぎゃはははと笑い声があがった。


面白かったらしく観光客からも写真を撮られていた。



な、なにしてんだ、俺……。




< 58 / 269 >

この作品をシェア

pagetop