今夜、愛してると囁いて。
「……健人?」
もう何年ぶりかのその名前にあたしは眉をひそめた。
「健人くーん!香澄ちゃんよー!」
大西、健人――。
高校時代から、約年ほど付き合っていた昔の恋人の名前だった。
別れた原因は、彼が他に好きな人ができたからだった。
やたらと真面目な性格だから、あたしときちんと別れて数ヶ月の期間を置いてから好きな人にアプローチをしたそうだけど。
それでもあたしにとってあまり思い出したい恋ではないのでおばさんに待ったをかけるけど、遅かった。