今夜、愛してると囁いて。
「好きです。初めて会った時から、香澄さんに惚れてました」
伊月くんの声に合わせて、触れ合った部分から震度が伝わってくる。
それから、やけに速い脈動はもうどちらのものかわからない。
「……すみませんでした。香澄さん、好きな人いたのに遊ぶようなことして」
抱き締められていた腕の力が弱まって、互いの間に少し隙間ができる。
あたしは伊月くんを見上げてえ、と声を上げる。
「幸せになってくださいね」
そう言って伊月くんが潤んだ瞳を隠すように無理矢理笑うから、あたしはしばらく何も言えずに固まってしまった。