ウェスター国戦師(いくさし)の書。~優しい追憶~
話は逸れるけど、ちょっと説明しておく。


ここはウェスター国。


今自分らがいる場所はウェスター城の屋上。


なんで自分ごときが一国の城にいてるかって……それは自分が12歳という年齢ながらにして、一応戦師(いくさし)として国に認められているから。


近隣諸国は魔法に特化した国、機械や技術に特化した国などなどあるけど、ここウェスター国は身体能力が高く武術に特化している。


それはここウェスター国が、獣性(じゅうせい……ビーストとも言う)ってな特徴が秀でてるからで、簡単に言えば獣のような特殊な力を使えるってこと。


戦師ってのは城に居住してウェスター王を守護し、外敵などと対峙する専門職だ。


実力さえあれば、この年でも職につける。


手前味噌なんだけど自分、現10名たらずの戦師の中では最年少だ。


そしてそんな国の王、ウェスター王は勿論国の誰よりも強い……いや強かった、いやいやそんなこと言ったらケイ兄にはったおされるかな。


ケイ兄ってのは現ウェスター王ケイゾウ、年はシン兄の一つ下で17歳。


まだ若く、それなりにひよっこ……いや本気でどつかれるわこれ、失言すんません。


自分が戦師として入城してまもなくの頃だから約3年前、前ウェスター王イッシン様は不慮の事故に遭われた。


なんとか一命はとりとめられたものの、その時から未だに意識が戻らなくて、ずっと深い眠りについてられる。


医師達の話は、いつ眠りから覚められるか分からない……明日かもしれないし、1年後もしくは5年後かもしれないし、最悪もしかしたらずっと……という非常に曖昧なものだった。


イッシン様は、自分みたいなガキが憧れて戦師を目指すほど、痺れる程に強い御方だった。


一人息子であるケイ兄も勿論強いけど、まだまだ発展途上中……それでも王位を継がない訳にはいかない状況だった。


あ、自分、現王にえらい親しげに兄呼びでいいかって?


それは、戦師と王が衣食住を共にする密接な関係だから。


基本、年上には敬語を使うんだけど、普段からよくしてもらってるケイ兄はじめシン兄やモモ姉なんかにはタメで話してしまう。←正式な場ではくすぐったいけど勿論敬語を使う


まあ、到ってフレンドリーな間柄ってことで。


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