甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 その寝顔を眺めながら、フィーネは複雑な気持になる。

 人を騙すということがどんなに大変か、今、フィーネは身にしみて
 感じていた。

 そして苦し紛れについた嘘が、さらに困った状況を生み出すということも

 親に決められた結婚で、フィーネが引き取られた娘だといったから
 エルストン卿は、付けいる隙があると考えたのだろう。

 それに、夫婦らしくないとも思われた。

 本当の夫婦じゃないんだから、そう思われても仕方ないことなのに
 なぜか、そのことはフィーネを落ちこませる。

 しかし、ユアンは嘘をつくことが、怖くないのだろうか。

 自分は嘘の人生などいやだ、なるべく嘘のない生活をおくりたいと
 フィーネは思う。

 今回のことは、ゴードンにこれ以上工房を拡大しようと思わせないためと
 工房の人たちの自由のためだが、ユアンは売れている劇作家らしいし
 お金のために詐欺を働いているとは思えない。

 身体に負担がかかるほど、容姿も人生も偽って、何が彼を
 そうさせているのだろう。

 嘘をつき続けることは、難しい。

 それに、嘘をつき続けるとうことが、なんだかとても悲しいことのように
 フィーネは思うのだった。
 
< 119 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop