夢みるHappy marriage

婚活パーティーに行こう



◇ ◇ ◇


「良い?ちーちゃん、良い女になるためにはね、振り向いてくれない男一人に固執してちゃダメなの」

「はい、勉強になります。先輩!」


それは私にも言えるセリフ。

この間は危なかった、完全に何考えてんだか分かんない社長様に完全に心奪われるところだった。
というかあれから数日は、まともに顔を合わせて話せないし、ふと気の抜けた瞬間にあの一夜のことが頭をよぎって大変だったんだけど。

まぁ数日たてば、頭も冷えて現実的に考えられるようになってくる。
あのスタイル抜群の美女を、毎日横に置いている彼にとって私はただの暇つぶしの女にしか成り得ないってこと。

元デブスとして天性の美女程恐ろしい存在はない。いくら努力して小綺麗にしたところで、彼女らを前にするとたちまち劣等感の塊であったことを強く思い知らされる。

ということで、あの夜は良い思い出になったということで、あんな深いキスをされてどれだけ熱を帯びた目で見つめられようと、私は絶対騙されない。都合良くなんて使われない。
そうだ、あの時だってお金をくれるって言うからキスしたんだから。

そう言って自分を奮い立たせるが、社長様のあの訳の分かんない行動に、突然の美女の登場。
変に勘繰りを入れて、少しも傷ついていないと言ったらウソになる。

もう、アラサーにそんな立ち止まっている暇ないのにっ。

そうだ、最初から絶対攻略不可、超高難易度のハイレベルな男ともしかしたら……、なんて一時でも錯覚してしまったのが間違いだった。

こんな最初から振り向いてくれない男、結婚なんて夢の夢のそのまた夢なんていう男にかまけている時間はない。
無駄に想い悩む時間も、下手に勘繰って一人傷つく時間も割いてなんてられない。


婚活は期限付き、リミットが迫っている私は忙しいのだ!



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