夢みるHappy marriage


そんな一触即発といった私達とは打って変わって、ちーちゃんと片桐さんは穏やかモード。
可愛いちーちゃんが見れて嬉しい片桐さんが、可愛い可愛いと賛辞を送ってる。
それにまんざらでもないちーちゃん、恥ずかしがってるけど嬉しそう。


「ちーちゃん、可愛いね」

「ありがとうございます、桜井さんが色々してくれて」

「もうね、ちーちゃんしか目に入んないよね、夜ご飯食べた?抜け出さない?」

「でも桜井さんと来てるから」

「あぁ大丈夫、絢奈ちゃんは、うちの社長様にもう捕まってるから。何食べたい?」

「でも……」

「ハンバーグとかどう?」

「ハンバーグ好きです……っ」

「よし、ハンバーグ行こう」


……早っ!

じゃ、と片手を上げて片桐さんに連れて行かれるちーちゃん。了承するちーちゃんもちーちゃんだ、私はハンバーグに負けたの?

「何なの、人の婚活茶化しにきたの?もう少しで連絡先手に入りそうだったのに」

「え?今の奴らの?年いくつ離れてると思ってんだよ」

「愛に年の差なんて関係ありません」

「頭めっちゃ光ってたけど」

「毛の薄さだって愛情で補えます」

「さっきから愛じゃないだろ、お前の場合金だろ。さっきの奴らがもしコンビニのバイトやってても、今と同じセリフ言えるか?」

「もー、なんなの、榊原さんが隣にいたら誰も寄って来ないじゃん。さっさとあっち行って、ほら女の子たちが待ってる」

そう、さっきから女の子たちに睨まれていたたまれない。しっしっと手で追い払う仕草をした。



「しかも、これ年収盛ったでしょ?」

出身地は抜けていても、数字のことは抜け目なく覚えている。
この人はお見合いの時、確かに8000万って書いてた。


「年収?」

「本当は8000万でしょ?それでも目玉飛び出す額だけどさ」

「8000万?」

「お見合いのプロフィールにそう書いてあったじゃん」

「あぁ、多分それおととし辺りのだな。そこに書いてるのは昨年の年収だよ。はっきりは分かんないけど、最低でもそれ位は俺に残るだろうって額」

「はぁ、なんか榊原さんは異次元の存在だからもう驚かなくなってきちゃったよ」

「何、異次元って」

「しかももう行動が謎過ぎる。スーパーセレブ様がなんで私なんかに構う訳?」


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