夢みるHappy marriage


「世の中若くてそこそこ可愛い子なんて腐る程いるんだよね。40過ぎのおじさんなら可愛がってくれる人もいるかもしれないけど、現実そんなに甘くないよ。能力のあるキャリアがある人なら尚更、最初から金目当ての相手に寄生する気満々の子に、魅力を感じる人はあまりいないんじゃない?結婚相手に自分の価値を見出そうとするとことか、本当辟易するよ」

つらつらと好き勝手言われ、私はそれをただ黙って聞いていた。

「ということなので、ここで終わりにしましょうか?」


そう言って立ち上がろうとした目の前の奴を引き留める。

「……わざわざ、私に説教するために、仕事を抜け出してくれたんですか?」

「説教というか、川村を振った奴から申し込まれてるって、その婚活会社を経営している友人に教えられてね。正直言うと、俺のプロフィールは友達に頼まれて肩書だけ貸しているダミーっていうやつでさ。まぁ、川村のこともあったし、あとは単純に婚活ってどんなものなのか面白そうだと思って」

「……面白そう?ふざけないで、こっちはお見合い一回一回本気でやってるんです。婚活に人生賭けてるんです。人をからかって楽しいですか?」

怒りで声が震えそうになるのをこらえながら反論する。

「お金重視で何がいけませんか?この殺伐とした東京で、愛だの恋だのだけで結婚できます?彼とは結婚を前提にお付き合いしていました。でも、会計士の合格率なんてたったの10%程度。仕事を辞めた後、何年か浪人するかもしれない。その間彼を支えられる程の愛情を持ち合わせていなかっただけです」

「俺でお見合い何回目なの?」

「20回目になります」

「もし仮に君が玉の輿に乗れたとすると、君には相手からお金、セレブの妻という地位の供給がある。だけど君は相手に何を与えられる?若さ?付け焼き刃のような可愛いさ?やがて老いていけばその価値もなくなるし、得意だという料理に関してもお手伝いさんで十分事足りる」

「……分かってます」

「分かってないだろ。経営者だとか一流企業に勤めているような人は、人を分析することに長けてる人が多いから、そういうのは話してて分かるものだよ。ただお金目的の、若くて可愛いさ位しか取り柄のない子は敬遠されるもんだよ。確かに君の言う通り、愛だの恋だのだけで結婚なんてできないと思う。けれど、お金だけでも結婚はできないよ」





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