レギンレイヴ -Reginleif-

「おっ、“ユーリちゃん”おはよう！」


教室の扉を開けると同時にいつものくだらない揶揄が待っていた。
私の顔や体つきが女みたいだからだ。
そんな女みたいな私がこのクラスの中でトップの成績という事が気に入らないのだろう。
実際は女だけども…

その為、私はこのクラスの中で孤立していた。
私は馴れ合うつもりはないから、こちらとしても有難い。


「…………」


いつものように無視をして、己の席へと座り、講義を受ける準備を始める。


「ユーリちゃーん、無視は良くないよォ？無視は」


時々思う。
どうしてこのような馬鹿が試験を突破できたのかと…
概ね、貴族でもない成金の親が多額の裏金でも積んで入学させたのではないかと。


「はぁ…
少し黙っていてくれないか？
五月蝿くてかなわない」


ため息をつき、馬鹿達の方を向き声に出す。


「──ッ！
てめぇ！！」


そいつは立ち上がり私の襟元掴みあげた。


「何だ？」


襟元を掴まれたまま、相手の目を見たままそう言ってやった。
すると、目の前にいるこの馬鹿は拳を振り上げた。


「この野郎！」


振り上げた拳は、私の頬を殴るより前に、誰かの手によって止められた。


「いい加減にしないか」


馬鹿を止めてくれたのは、今から始まる戦術論の講師を務めるバイパー教官だった。


「バ、バイパー教官…」


バイパー教官に止められた馬鹿は私を離し、バイパー教官を恐れ青い顔をしている。


「解ったのならば、早く席へと着け。
講義を始める」


バイパー教官は、その場を離れ、教壇へと向かっていった。


「ふぅ、おっかねぇよバイパー教官。
あの目で睨まれちゃ生きた心地がしない」


馬鹿達は、バイパー教官に言われた通りに自分の席へ戻っていき、バイパー教官が教壇に立つと、講義が始まった。


そうして、時間は過ぎ、本日の訓練・講義は全て終了した。