離婚、しませんか?
「言えな、んっ、んっ……!」

額とか頬とか瞼とか睫毛とか。
鼻先にも唇の端にも顎にも口づける度に、いちいちじいっと琥珀色の猫目で私の心の奥まで覗き込まないで顔が茹だっちゃうからあああ。
こんな甘くて痺れる拷問に耐えられる女子がいるなら見てみたい!

「みちる」
「……ぅ。あの……」
「………」

口をはくはくさせたままなにも言えない私を無言のまま憂いを含んだ眼差しでひたすら見つめないでそんなに優しく髪を撫でないで、あ。
一房掬い取った髪に唇を寄せてそのまま指に絡めた髪を引き寄せないでどアップになった麗しい色香を纏ったその顔が眩しすぎて目が潰れちゃうからもう許してえええっ。
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