離婚、しませんか?
その麗しすぎる美貌をひけらかすことなく寧ろそんなものにはなんの執着もないという風情で、却って、平々凡々な私のルックスを、やる事なす事を、なにかと言えば褒める褒める褒めそやしてくれたーーーそりゃもう、嘘くさいくらいに。
そんなに褒め殺しにして一体私をどうしたいのってたじろぐほどに。
そんな人だったことも、すごく意外で。
毎日繰り返される挨拶や会話の度に、私の耳にも心にも心地良く流し込まれてゆく夫のーーー『髪型、変えた?似合ってるね』『そのエプロン可愛いね』『行ってらっしゃいのちゅーもして』『食事より先にみちるを食べさせてよ』ーーーそんな、とろとろに煮詰めたシロップのような甘い言葉の数々に、三十路を前にして結婚まで考えていた長い付き合いの彼氏に振られてささくれていた女心はすっかり擽られてしまった。
そんなに褒め殺しにして一体私をどうしたいのってたじろぐほどに。
そんな人だったことも、すごく意外で。
毎日繰り返される挨拶や会話の度に、私の耳にも心にも心地良く流し込まれてゆく夫のーーー『髪型、変えた?似合ってるね』『そのエプロン可愛いね』『行ってらっしゃいのちゅーもして』『食事より先にみちるを食べさせてよ』ーーーそんな、とろとろに煮詰めたシロップのような甘い言葉の数々に、三十路を前にして結婚まで考えていた長い付き合いの彼氏に振られてささくれていた女心はすっかり擽られてしまった。