離婚、しませんか?
「ーーーーーー好きっ」

呟いたと同時に我に返ったけど。
勝手に動いた唇から出た言葉はもう、取り戻せない。

「みち、る……?」

初めて見た。
そこまで呆けきった顔。

私を見つめる夫は、そんな表情ですらとんでもなく愛嬌があって愛おしい。
そうーーーとことん愛おしい、のに。

夫の心の中には、きっと。
別の誰かがいる。

え……。今、の、『好き』って」
「言ってない!私なんにも、言ってないっ」

思わずぐるんと後ろを向いて、ヘッドボードに縋りつく。

わああああ……っ!
なに口走ってんの、私のバカァーーーーーーァァァ。
十秒前の私の口を封じ込めたい。
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