離婚、しませんか?
「実花さんはあなたに振り向いてもらいたくて、すごく頑張っていたのね。そんなに断られてしまったら、私ならとっくに諦めていたかも」

……でもやっぱり、諦め切れないかもしれない。
こんな素敵な従兄が幼い頃からずっと側にいたんじゃ、きっと他の人なんて考えられないと思う。

「今なら、あいつの気持ちがよく分かるよ」
「……っ!?」

ふいに額に触れて、そっと離れていった柔らかな感触。

慈しむように優しく押しつけられたその唇が、微かに震えているようだったのは気のせい……?
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