*Only Princess*
「……菜生、」
「……なに?」
「お前、大丈夫か」
「……えー、どゆこと? もしかして、まださっき勝手にバイク乗ってたこと言ってるー?」
「そうじゃなくて、」
わかってるよ。
心配してくれてるんだよね。
でもこうやって誤魔化してないと、笑えないんだよ。
空元気って気づかれてても、やめられない。
すると、すっと手が伸びてきて、頬に触れた。
「……無理して笑うな」
「え?」
「菜生のそんな顔見てると、こっちまで辛くなる」
「てった……」
優しい言葉に、目頭が熱くなるのを感じる。
最初は堪えようとしたけど、無理だった。
じーんと鼻の奥が痺れるほど熱い涙が零れてくる。