*Only Princess*




「……まさか、あんなこと言われるなんてね! しかも朱雀から」


「……ああ」


「でも、みんながあたしをどう思ってるか聞けて、あたし的にはラッキー♪」


「……」



あれ、てったってば素っ気ない。


素っ気ないのはいつもな気もするけど、返事をしてくれないなんて。



「……もしかして、不機嫌?」


「……」



当たりだ、きっと。



「何? なんで怒ってるの?」


「……お前、いつ朱雀と接触したんだよ? しかも、気に入られてたし」


「あー……それは迷子になったときに、」


「やっぱ、菜生といると問題が絶えねーな」


「うぐっ……」



顔は見えないけど、声のトーンで不機嫌なのがよくわかる。


でも、きっとたぶん。

問題が起きたってことよりも、あたしが朱雀に取られちゃうかもって一瞬でも思って、心配したんじゃないかな。


だとしたら、不謹慎だけど嬉しいな。



< 280 / 422 >

この作品をシェア

pagetop