*Only Princess*
「……ちょっと。訳わかんないこと言わないでよ! 約束したじゃん! この前だって、白鷹の姫でいるって言ってたじゃん!」
「司」
取り乱す司の肩に手を置き、琉依がそれを静止した。
そして冷静に、琉依と航平が質問をぶつけた。
「菜生。なんで急にそんなこと言うの? 確かに、今まで辛いこととかあったかもしれないけど、抜けたいなんて言ったことなかったよね?」
「そ、れは……」
「急に意見が変わるなんて、おかしいです。もしかして、朱雀に脅されているんですか?」
菜生の肩がピクッと揺れるのを、俺たちは見逃さなかった。
「そんなの、あいつらの言葉を真に受ける必要はねーよ! 何を言われたのか知らねーけど、俺らから離れる理由にはならねーだろ!?」
「真幸」
今度は俺が真幸を静止した。
ここで菜生を責めてはダメだ。
心を追い詰めることになってしまう。
でも、冷静でなくなる気持ちはわかる。
当たり前だけど、菜生が傍からいなくなるなんて嫌だ。