*Only Princess*




母さんの形見の髪留めを握りしめて、俺は自分の引き取り先が決まるのを待っていた。


だけどどこの家も。



「うちはちょっと……」


「子どもが3人いるし……」



そんなことを言われ、すべて断られた。


結局、お金だけは出してもらえることになり、一人暮らしには広すぎる部屋に住むことになった。


別に俺はそれでよかった。


よかったけど……

ずっと孤独だった。


もともと人付き合いが苦手な俺は、家でも学校でも俺の居場所はなかった。


周りにも自分にもイラつく状態が増えて。


学校に行かなくなって、夜になったら街をぶらぶら歩いて、不良に絡まれたら殴り合い。


殴られるのは慣れてる。


今さら殴られることは躊躇しない。


最初はやられてしまうことが多かったけど、数を重ねる度強くなっていた。



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