桜木町
「どこかホテルとってるの?」
もう駅も近くなった頃、彼女が訊いた。
「いや、俺は明日仕事だから。最終の新幹線で帰るよ」
「そっか。一緒だね、私も」
一緒といっても俺と彼女の乗る新幹線は南と北、全く反対の路線。
まるで今の俺たちのようだ。
だけど、それも今日までのことにしたい。
今日会えたら言おうと思っていたことがあった。
けれど、タイミングがなかなか見つからなかった。
ほとんどが二次会へ行く中、彼女は行かないと知り、俺は二次会をドタキャンして彼女と一緒に外に出た。
絶対に彼女から声を掛けてくれることは今までの俺たちの関係からは容易に想像できた。