シグナル
その事に最初に気付いたのはトーマス准将であったが、
その頃にはすでに、
夜が明けようとしていた。
これではまずいと感じたトーマスは、
再びルイス中将のもとにやって来ると、
もう一度ルイスに進言した。
「隊長お願いです、
お聞き下さい!
どうやら我々は、
知らず知らずのうちに目的の進路を外れてしまった様です。
この様子では奴等の基地はまだまだ先のように思われます、
おまけにもうすぐ夜が明けてしまいます。
兵士達の疲労をとる為にも、
この辺で彼らに休息を与えてください…
少し休んだ後、
陽の高い内に出発した方が迷わずに済みます、
辺りが暗くなる頃奴等の基地が視界に入る様にした方が良いでしょう…
それならば迷う確率も低くなり、
基地に付く頃には暗くなっているので奴等に発見されにくく、
奇襲をかけやすくなります!」
トーマスの必死の願いに、
一瞬ためらうルイスであったが、
その時既に、
東の空が徐々に赤く染まりかけており、
それを目にしたルイスは、
仕方ないと思い渋々承諾する。