彼女の涙の理由
〜悲劇の始まり〜
彼女は、泣いている。しかも寝ている時に。
涙を一粒、二粒と流していく。
いつ頃かわからない、けれどこの部屋に同居している。
まぁ、義妹で僕が面倒を見ている。
彼女の過去で6歳から前は知らない、つまり僕が10歳、彼女が6歳の時に両親は再婚した。
でも、彼女が泣いている理由を聞いても

『花粉症みたいなの』

『ハウスダストだよ』

と、笑って誤魔化している。
僕は絶対彼女には秘密があると思う。

そう思いながら彼女の髪を撫でる。
彼女はぐっすり寝ているようだ、涙をこぼしながら。

~翌朝~
昨日の疲れが残っているのかまだ眠い。
彼女は友達と遊びに行くようで、黙々と準備している。

「お兄ちゃん、私のイヤリング知らへん?」

「イヤリングならタンスの上に置いてなかったか?」

「ぉぉ!さっすがお兄ちゃんやね!」

彼女は変な方言が入っている。
「~けんね(なんだけどね)」とか、「やね(だね)」とか…
数えたらきりがないと思う。

「今日は誰とどこに行くの?」

「んーとね、桜ちゃんと町田行っとくる!」

「そうか、遅くならないようにね?」

「ん!わかっちょるよ!」

変な方言も可愛いなぁ~。
僕は義妹が好きなのか?でも、それはだめだ。
戸籍上妹なのだから禁断の恋愛だ。
いけない、いけない。
彼女でも作って忘れよう。

「いってきまーす!」

「いってらっしゃい」

両親は再婚した3年後に二人であの世に行った。
ハワイにバカンスへ出かけた時運悪く強盗と出くわし、父が止めようとした時銃でうたれて、母が次に父のへ復讐で立ち向かったが呆気なくしんでしまった。
僕は22、妹は18。
一生懸命働いているが、妹の大学費や成人式の準備など僕に払えるかどうかとても心配だ。
よし、バイトだ。一生懸命働いて食わせてやる。

「いってきます。」

両親に手を合わせ、鍵を持ちドアを閉めた。


『いらっしゃいませ!』

といいながら接客。今日はクレーマーがたくさんいるな。
こういう時彼女が笑顔をくれたらいいのに。

「おい、浅沼。」

「はい、店長どうしました?」

「今すぐ家帰れ。妹さんが大変だ。タイムカードは俺がしといてやる、ていうか一週間休め。」

え?どういうこと?

「すみません!ありがとうございます!」

エプロンを投げるようにロッカーに捨て、急いで家に戻った。
家の周りは何台かパトカーがいた。

「浅沼 優太さんですか?」

「はい、あの、妹がなんかあったんですか?!」
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