すれ違う未来
俺の部屋で家事をすることに今まで文句一つ言わなかったアイツが別れたいと言ってきた。
・・・きっと、アイツにはアイツの夢や理想があるのだろう。

結婚もしていないのに、家事をさせる俺のことが面倒になったのか?
嫁さんを家に閉じ込めるタイプの俺に気づいて嫌気がさしたのか?
・・・俺とでは幸せになれないと結論を出したアイツの気持ちを尊重したかった。
俺の気持ちを押し付けても、アイツは幸せにはなれないだろう。

・・・アイツの気持ちを何も聞けなかった。
情けない男だ。 自分を否定するアイツの言葉を聞きたくなかった。

クローゼットの一番下に隠すように置いてあった、紙袋が虚しい。
もうすぐ来るアイツの誕生日に渡すはずだった指輪をただ見つめた。

もう、アイツはここへは来ないんだ・・・そう思うと胸が苦しくてどうしようもない。
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