すれ違う未来
俺は手に持っていた茶碗を置いた。
俺の部屋にある茶碗とペアになる茶碗ではないからだ。
俺たちの関係の様だな。と思う。

もう二人で並ぶことは無いのだろう・・・。

アイツはあの茶碗をどうしたのだろうか?
まだ、そんな事を考えてしまう。
・・・きっともう捨てているんだろうな。

店を出ようとして、やはり、後ろ髪を引かれる。

結局、俺はアイツのお気に入りだったリーフ柄のベッドカバーを買って店を後にした。
今夜はアイツとの思い出を抱きしめて一人寂しく眠りに就くことになりそうだ。

・・・アイツが俺以外の男と、今 一緒に居る。
その事実を知っても、俺はアイツが好きなのだと悲しいくらい自覚していた。
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