すれ違う未来
彼の部屋の合鍵を貰ってから私はまるで家政婦だった。
週の半分は、夕食を作り、掃除洗濯をするために彼の部屋へ通い、土曜日だけは泊まっていた。
だけど、私だって自分で借りている部屋があって、そこでも掃除洗濯をしなくてはならない。
・・・精神的に限界だった。

もしも、一緒に住んでいたら、毎日家事をすることに抵抗を感じなかったかもしれない。
お互い働いていても、協力して欲しいとさえ思わずに、私はきっと甲斐甲斐しく彼の世話を焼いただろう。

彼は私が彼の部屋に行った日は一切家事をしない。
食事やお風呂が終わるとソファーの上でくつろぎテレビを見る。
大好きなバラエティ番組を声をあげて笑って見ている姿は、ただ母性本能をくすぐられていた。
でも、こんな風で 私と付き合う前はどうしてたの?と疑問になったけれど・・・。
きっと私の様に家政婦代わりをしてくれる彼女が絶え間なく居たのだろう。という結論に至った。
いや・・・居た。という過去形では無い。 今も私の行かない日は違う人が来ているんじゃないだろうか。
そんな不信感を私は常に持っていた。
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