すれ違う未来
別れをあっさりと受け入れられたあの時の絶望感や悲しみを渚の前で出すことはできなかった。
・・・あんな扱いされたのに、彼の事を守りたいと思っている私。
私の言い方一つで彼の評判は地に落ちるだろう。
だから私は何も言わないつもり。
「はぁ!? それ、本気で言ってるの?」
渚が不機嫌丸出しで言う・・・渚、恐いよ。
「あのね、私・・・彼と別れてるの・・・もう3ケ月も前の話」
「えっ!?」
「だから、私の誕生日にはもう別れてたの。 だから指輪なんてくれる訳ないんだ・・・」
「やだ・・・嘘でしょ?」
驚いている渚。 私は嘘では無いと意思表示するために首を横に振った。
「なんで・・・? だって、三都の誕生日にプロポーズするって私の彼にハッキリと言ったのよ?」
「・・・え?」
「三都の誕生日に間に合うように婚約指輪を作るって言ってたんだって」
「私の? まさか・・・」
「指輪を用意した時は別れてなかったってことよね・・・三都から別れたの?」
「うん」
「どうして? 何かあった? 何かあったならどうして私に何も相談してくれなかったの?」
「渚・・・」
「私、岩崎の同僚だけど、三都の親友なのに・・・岩崎なんかよりずっと三都のことが大切なのに、どうして何も教えてくれなかったの?」
「ごめんね・・・ただ、私が彼と居ることに疲れただけなの」
「疲れた?」
「・・・そう」
「まさか岩崎が浮気したとかじゃないよね!?」
「・・・違う」
浮気をしていた証拠がある訳では無い。
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