【完】Angel Heart
何時の間にか大きくて、ゴツゴツとした手になっていて。
今まで『好き』という言葉だけで、想いだけで、スルーしていたけれど…。
湊は完全に…『男の人』なんだ。
あたしとは、何もかも違うんだ。
「…っ」
なんだか、それが物凄く切なくて。
あたしは声を上げて泣き出しそうになった。
あぁ、なんて…なんて不釣合いなんだろう。
湊が笑い掛けてくる度に思い知らされる。
あたしは、あたしが…ダイキライ。
だから、お願い。
まだ、あたしを置いていかないで。
もっと自信がつくまで、待っててよ…。
どうしようもない想いを胸に、あたしは思い切り口唇を噛んだ。