一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
その情報によると年齢は二十七歳。

身長百八十二センチ、趣味で身体を鍛えているらしく、見た目以上に逞しい身体をしているとか。

キリッとした切れ長の二重と筋の通った高い鼻。黒の短髪は清潔な印象を与えてくれる。

大学在学中に経営学をしっかり学び、その間に留学経験があり語学堪能。ネットの情報によると幼い頃から勉強していて今では四国語を話せるらしい。


大学を卒業後は営業やグループ会社での下積み時代を得て、昨年二十六歳の若さで副社長に就任。さっそく経営手腕を発揮しているとか。

そういえば頻繁に彼がメディアに取り上げられるようになったのは、昨年頃からだ。

頭に叩き込んできた彼の情報を思い出している間にも感じる視線。

恐る恐る視線を上げると、すぐさま視線がかち合う。するとやっぱり彼は嬉しそうに口元を緩ませた。

慌てて視線を落とし、ひたすら並べられているナイフやフォークばかり見つめてしまう。

なんなの、この人! どうしてずっと見てくるわけ? それにさっきのは本気!?

頭をよぎるのは、開口一番に言われたまさかのプロポーズの言葉。

いやいや、いきなりプロポーズとかおかしいから。やっぱりドッキリじゃないのかな?
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