一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「寒かったでしょ? 珈琲でいいかな? 座って待ってて」

「……はい、すみません」

一瞬「私がやります」って言いそうになってしまい、慌てて言葉を飲み込んだ。

珈琲メーカーの使い方分からない私には、珈琲を淹れることなんてできないし。

ここはお言葉に甘えておとなしく座って待っていよう。


そう思い、座り心地抜群のソファに腰掛けた。しばらくすると昨日同様、珈琲の芳しい香りがキッチンから漂ってきた。

昨日も思ったけどいい香り。

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

昨日と同じカップを受け取ると、南さんは私の隣に腰掛けた。

昨日も一緒に過ごしたはずなのに、一緒にいるだけでドキドキしてしまう。距離が近いと余計に。

こんな状況で話なんてできる? とにかく一度落ち着こう。

心を鎮めるように美味しい珈琲を啜っていると、おもむろに南さんが話し出した。


「昨日と同じ珈琲でごめんね。……昨日真理愛に出してもらったハーブティーを淹れられたらいいんだけど、真理愛のように美味しく淹れられなくて」

急に出た笹本さんの話に、ドキッとしてしまう。
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