一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「私、退職願を出した五人に連絡して会ってくる!」

「え、あっおい美弥!」

一方的に告げて走り出した。


お父さんの声が背後から聞こえてきたけれど、立ち止まることなく向かう先は事務所。

だって信じたくないよ。幼い頃から勤めていた人ばかり。お母さんがいない分、みんな可愛がってくれた。

進路や友達関係で悩んでいたとき、相談にも乗ってくれた。


五人ともみんな優しくて、頼りになるお兄ちゃんみたいで……。そんなみんなが突然辞めただけではなく、新製品のサンプルやデータを盗んだなんて信じたくない。


事務所に戻りすぐパソコンを起動させ、社員のデータを表示する。

そしてひとりひとり会社の電話からかけていくものの、誰ひとり出ない。

「どうして誰も出ないの?」

苛々が募り、乱暴に受話器を置いてしまう。

五人全員出ないなんておかしい。それじゃやっぱり犯人は……。

ハッとし慌てて首を左右に振る。
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