一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「どうかされましたか?」

こんなの自分勝手な想いだってわかっている。今さらだってことも。でも――!

「南さんは今、どちらに……!?」

会いたい。南さんに。会って自分の想いを伝えたい。

唇をギュッと噛みしめ南さんのお父さんを見つめてしまう。すると彼は唇の端を上げた。


「美弥さんならそう言ってくださると信じておりました」

「え」

どういう意味? 拍子抜けしてしまう私に南さんのお父さんは続けた。


「颯馬なら成田空港十六時発の、サンフランシスコ行きの便に乗る予定です」

「今日ですか!?」

「はい。ですが今から行けば間に合うかと……」

そう言うと南さんのお父さんはニッコリ微笑んだ。


「水谷さんは私が責任もって送り届けましょう。なのでどうか颯馬の元へ行ってあげてください。……あの子もきっと喜ぶでしょう」

「……っありがとうございます!」

深々と頭を下げ、談話室を飛び出した。全速力で駆けていく。


今日まで散々ウジウジ悩んで、迷って。それでも臆病で傷つくのが怖かった。それなのに今、私は南さんに会いたい一心で走っている。
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