一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「これからもミャーに好きになってもらえるよう、頑張るから。……だからまた、時間ができたら会ってくれる?」


少しだけ首を傾げ問いかけてくる彼。

こんな聞き方、ズルイ。

今日、楽しかった。また彼と今日みたいな時間を過ごせるなら――。

「……はい」

返事はひとつだった。私だってまた会いたいと思ってしまったから。


彼の気持ちはわからないけれど、自分の気持ちならわかる。……私、また南さんと会いたいって思っている。


トクントクンと鳴る胸の鼓動。

熱い眼差しを向けられ、鼓動の速さは増していく。

静かな車内。交わり合う視線。包み込むように握られたままの手が熱い。

「ミャー……」

切なげに、けれど愛しそうに私の名を呼ぶと、ゆっくりと縮まる距離。

胸の早鐘は驚くほど速くなる。

どうしよう、このままじゃ私……南さんにキスされてしまいそう。

なのに顔を背けることも、押し返すこともできない。

どうして? 私……このまま南さんとキスしちゃっても、いいと思っているの?
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