理想の人は明日から……
 私は自分の部屋に戻り着替えを始めた。


 落ち着いて考えてみれば、部下とは言え、それ以上に部長にはお世話になっている。


 しかも、ベッドに入ったのは私の方だ……


 ちょっと、言い過ぎたかな?



 私は顔を洗って支度を整えると、キッチンへ向かった。


 昨日、自分のアパートからもって来た材料を確認する。


 ヨシ!


 ご飯を高速で炊くと、豆腐とネギの味噌汁、焼き鮭に出し巻き卵のおろし乗せを作った。


「ふーん。旨そう」


 カウンターから、部長が見ている事に気付かなかった。


「食べます?」


「勿論!」

 部長は嬉しそうにテーブルに着いた。


「部長…… さっきは言いすぎました。すみません……」

 ぺこりと頭を下げた。


「いや…… 南が元気になって良かった……」


 部長の顔は赤くなって、ご飯を勢いよく食べ出した。


 そっかぁ…… 


 私、最近部長を怒る元気も無かったんだ……



「いただきまーす」


 私も手を合わせると、箸を持った。



 その日の夜も、私は部長のベッドで眠った……


 次の日も、次の日も……
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