time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

時計をつけている左手の手首に傷跡が見えた。


くっきりと一本だけ、深い線が手首についている。


俺の目は確かにそれをとらえたけど、文さんに気付かれないように視線を逸らす。



「じゃあ、今日は帰ります。」


俺は文さんに気付かれるんじゃないかとハラハラとしながら、立ち上がり店を出た。



「気をつけて。」


…と言う文さんの声を背中越しに感じながら。
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