time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

まだ混乱している。


「今日は話しすぎて疲れたから、店閉めるよ。」と微笑んだ文ちゃんの顔が脳裏に浮かぶ。


店を出たあたしは豊が待つ家へと向かっているのに、その足取りが重い。


浅葱のこと、文ちゃんの家族のこと、これまでのあたし、これからのあたし。


整理しなければならないことが多すぎて、一人になりたかった。


でも、今のあたしにはそんな場所は存在しなくて……


一瞬、マンションへ行こうかとも思ったけど、やめておいた。


あたしは豊と生きて行くことを選んだんだ。


一人ではなく、二人で乗り越えて行かなければ。
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