神にそむいても
「美姫さま、皇子がお呼びです」
「……はい」
夜、部屋でぼんやりしてるとうたさんが呼びにきた。
緊張が走る。
昨日皇子には怒られてしまったし、
早くことを進めるためにも私は絶対に自分の本心を悟られちゃいけない。
きゅっと口を結んで、部屋を出た。
部屋の外には心配そうに私を見てる秋保さんがいた。
私は笑って首を横に振る。
心配してくれてありがとう。
姫の部屋に入ると、皇子と姫は並んで座っていた。
どちらの表情もかたい。
「明日、母上に美姫が姫の代わりに帝に嫁ぐ意思がある旨を伝えようと思っている」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
私は頭を下げる。
これで一歩前進。
「美姫、顔を上げろ」
私はゆっくりと上げた。
皇子は、今日は怒ってるっていうよりも哀しそうにしてる。
「本当にお前はそれで良いのだな?」
「はい」
「本当に俺や姫に遠慮をしてそのような答を出している訳ではないのだな?」
「はい」
「智を待たず、今回の事に及んで本当に悔いはないのだな?」
私を試すように視線をそらさずにきいてくる。
私もじっと見つめ返す。
皇子は私の覚悟を見極めようとしてる。
私は気を引きしめる。
「……はい」
「そうか」
皇子は少しだけ視線をそらし、
「お前の覚悟は分かった。そのように進むだろう。
追って、お前には話が来るだろう」
と淡々と話してくれる。
「はい、ありがとうございます」
小さく息を吐いてから頭を深く下げた。