神にそむいても


「今日は呼んでくれてありがとう」

お父さんは目を細めて私たちを見てる。


「おじさんに今日はお願いがあって」

「お願い?」

 私たちはうなずいた。

「オレと美姫は高校を卒業したら大学に進学するつもりです。
 そして、大学を卒業したら美姫と結婚させてください」

智が頭を下げたから慌てて私もそれに倣った。


「頭を上げて」

そう言われ、私と智はゆっくりと顔を上げると、
智の前にお父さんは手を出した。

智は応えるようにその手を握る。


「娘のことよろしくお願いします」

今度はお父さんが頭を下げてくれる。

「な、人美(ヒトミ)。いいよな」

お父さんは墓前のお母さんに向かって話しかけた。



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