神にそむいても


「ん、じゃあ着替えよっか」

「うん、そだね」


店員さんに店の“更衣室”って書かれた場所に誘導され、
私と孝くんはそれぞれ“男性用”“女性用”って書かれた場所に入った。

更衣室は六畳くらいの畳の部屋があって、鏡が壁一面にかけられていて、
ウチの高校の三人の女子が店員さんに着せてもらっていた。

もちろん、その中には太田さんもいる。

太田さんが選んでいたのはメインの上着はショッキングピンクでいわゆるどぎついってカンジ。

彼女のことだから、智にも意見をきいたのだと思うけれど、智はどうせ曖昧に選んだと思う。
だって、智はああいう色は好きじゃないから。

ああ。バカだな、私。
嫉妬してんだな、彼女に。
みっともないなー。


着替えて店内に戻ると、
孝くんはすでに着替えを終えていて私を見るなり、
「天女みたいだよ~」
って恥ずかしくなるようなことを言ってくれた。

「孝くんは聖徳太子だね」

「そ、オレいっぺんに10人のハナシきけるからね」

「フフ」


ほんの少しだけ孝くんに助けられた。

ううん。ほんの少しなんかじゃない。
もし孝くんがいなかったら、私はもう立ってすらいられない。

ありがとう孝くん。
そして、利用してごめんね。



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