神にそむいても


智たちは着替え終わって、近くにいた。

あ、やっぱりよく似合ってる。

智は黒い衣装を身にまとっていて、私の思った通りよく似合っていた。

隣には太田さん。

私は見たくなくて、すぐ近くにあった姿見に視線をうつす。

え……。

隣にいるはずの孝くんは映っていなくて見知らぬおじさんが映り込んでる。
ううん、正確にいえば、昨日夢で見たあのおじさんの顔。

「見つけたぞ」

”見つけたぞ”

その人は確かにそう言っている。

「もう逃がさないぞ」

まるで鬼の形相で私を見ている。

キーーーーーン。

激しい耳鳴りがして、目の前が真っ暗になった。


「美姫!!」

遠くで私を呼ぶ智の声がする。

だけど、そこで私の意識はぷっつりと途絶えてしまった。




運命の扉 終





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